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The 10th Satellite Design Contest

応募:
29作品(設計の部7作品、アイデアの部22作品)募集チラシ(PDF)
一次審査通過:
11作品(設計の部5作品、アイデアの部6作品)
最終審査会:
2002年10月27日(日) 東京都立航空工業高等専門学校 汐黎ホール
最終審査会ポスター(PDF) 最終審査会プログラム(PDF)
特別講演:
「大学研究機関による小型ハイブリッドロケット打上げシステムの開発」
北海道大学 大学院工学研究科機械科学専攻 (宇宙環境工学講座) 永田晴紀 助教授
設計大賞

設計大賞

パネル展開型多目的衛星PETSAT 設計の部
東京大学大学院
メンバー:
中村友哉、船瀬龍、永井将貴、田中秀幸
PETSAT(Panel ExTension SATellite)は衛星の構体となるパネルにCPU、メモリ、通信、電力、制御など種々の機能を埋め込み、それを必要な枚数だけつなぎ合わせることにより構成する衛星である。
各機能のパネルは大量生産して低コスト化、信頼性向上を図り、それをつなぐ(Plug-In)だけで衛星を構成できるので、さまざまなミッションに対応しながら、かつ低コスト化、衛星開発期間の短縮化を図れる画期的なアイデアである。パネルは折りたたんで打ち上げて軌道上で展開するが、これを利用して面積・長さを必要とするミッションが小型衛星でも実現可能となり、今回はこれを応用した高解像度リモートセンシング衛星を設計した。
アイデア大賞

アイデア大賞

MIcroscopic Test of Newtonian Gravitation and the Casimir Effect (MITONGACE)アイデアの部
Massachusetts Institute of Technology
メンバー:
桑田良昭、合田圭介、松永慶子(Boston University)
地上では微小な地震のために精密な測定に限界があるが、宇宙空間では、未知の量子スケールにおける重力の振る舞いが測定できる。ひも理論によると、非常に小さなエネルギースケールでは、重力は物体間の距離の逆二乗則に従わない。これは湯川ポテンシャルの効果で、extra dimension が存在するとされている。
この存在が確認されれば、プランクスケールより大きなスケールで「ひも理論」が正当化され、それを土台とする量子重力理論が大きく展開することになる。このような高精度の実験において、カシミア効果も現れることが予想される。カシミア効果とは空間のゆらぎによって放出されるランダムな電磁波が、物体間に働く力を引き起こす現象で、すでにその存在は確認されている。
カシミア効果の精密な測定により、宇宙の加速膨張といった素粒子物理学や宇宙物理学の多くの問題を説明することができる。
日本機械学会 宇宙工学部門表彰 フロンティアの部

A Low-Cost Microsatellite Flyby Mission of 4179 Toutatis設計の部
University of Surrey
メンバー:
Fred Kennedy、Ian Coxhill、Egemen Imre、Sofiane Atek、Jeremy Fielding、Vaios Lappas、Marie Freebody
プロメテウスは大きな増速量(約2 km/sec)を出せる推進系により,初期軌道の静止軌道から小惑星トータチス(4179 Toutatis)に接近してフライバイを行いその近傍を通過する。トータチスは巨大(2.5 x 6.5 km)で一時は地球への衝突が懸念された小惑星で、2004年に地球に接近する。
プロメテウスはこの時期に、地球からおよそ3,500,000 km離れたところでこの小惑星に接近し、高解像度マルチスペクトル画像と近赤外スペクトルデータを取得する。我々の現状の地上レーダでは、解像度が非常に限定され、表面の組成に関する情報はほとんど得られない。
日本航空宇宙学会賞

ガンマ線バースト観測衛星「風鈴」設計の部
東京工業大学大学院
メンバー:
岡田英人、宮下直己、占部智之、柏宗孝、立川智章、山口伸斉、尾曲邦之、森田幾太郎、山本佳久
本衛星の目的はガンマ線バースト現象の観測である。ガンマ線バーストとは、宇宙のかなたから数秒間から数十秒間にわたって大量のガンマ線が降り注ぐ現象をいうが、いまだ正体が解明されておらず、宇宙物理に残された最大の謎の1つである。
本衛星は、スピン安定方式を採用し、2種類の観測機器を用いた、軟X線~ガンマ線領域(0.5~200keV)におけるガンマ線バーストの検出、位置通報、光度曲線測定、スペクトル測定を高精度に行い、ガンマ線バースト現象解明に大きな役割を担う。
電子情報通信学会賞

METHANE…通信・ネットワーク・電力ステーション~火星探査インフラストラクチャーの構築~アイデアの部
東京大学
メンバー:
新井達也、程毓梁、江野口章人、中田賢治
長期的な火星探査ミッションの実現には、火星上の開発インフラの充実が重要である。小型ステーション(愛称:METHANE)を探査予定地域に事前にばら撒き、後から探査機に、電力と情報ネットワークのリアルタイムでの共有とアクセスを提供することで探査機をバックアップする。また2次的なミッションとして、小型着陸機の技術実証と火星の局地的な環境観測を行う。
宇宙科学振興会賞

宇宙リハビリテーションシステム~微小重力環境における身体障害の有利性~アイデアの部
東京都立大学大学院
メンバー:
石川成道
本ミッションは、宇宙に身体障害者を連れ出し、夢と希望を与えるというイベント的なものではない。身体障害者が地上において持つハンディキャップを、微小重力環境においてむしろ有利に働かせ、ミッションクルーとして直ちに活躍できることを宇宙医学分野の身体的・生理的観点から証明するものである。また微小重力環境での身体障害者の活躍は宇宙医学の新たな分野(リハビリテーション医療など)を作りだすであろう。
日本宇宙フォーラム賞

自由航行型宇宙ロボット試験衛星設計の部
東京都立科学技術大学
メンバー:
松本道弘、吉岡謙介、柏木寛之、佐藤大輔、村上千景、山本晃司、石藤諭
本衛星はETS-?の技術を土台にし、さらに実用性を高めた技術試験衛星である。
将来の大型構造物の保守・監視あるいは組み立て手段として軌道上を自由に動かすことのできる衛星技術の開発を目指して、軌道上プラットホームからの放出・回収技術、軌道上機器交換等による衛星の再利用化技術、軌道上運用による極近傍域遠隔操作技術の実証を、国際宇宙ステーション搭乗員による操作を中心として行うものである。実証された技術は、今後国際宇宙ステーションの保守・観察に利用できるほか、軌道上での衛星運用の基盤となる。
審査委員長特別賞

テザー衛星を用いた2点デブリ観測システム設計の部
九州大学大学院
メンバー:
宮崎基樹、矢野宏、板橋孝昌
現在、衛星の打ち上げ等によって軌道上に多くのデプリが発生している。
デブリとの衝突事故を防ぐためにデブリの実際の分布を知ることは、宇宙開発において大変重要である。本ミッションの目的は、アポジモータ等によって放出されたアルミ粒子からなる雲状のデブリ群の存在を確認するため、テザーを用いて離れた2点からデブリを観測すること、および将来におけるテザーシステムの実用化のためのデータを取得することである。
奨励賞

再構成モジュラー型太陽発電システムアイデアの部
東京工業大学大学院
メンバー:
澤田弘崇、中谷幸司、宇井恭一、此上一也、駒津敬子
本ミッションは、静止軌道上に打ち上げた複数のモジュラー型衛星を互いに結合分離させることにより、超大規模な太陽発電システムを構築し、発電電力をマイクロ波によって地上へ送電することを目的とする。
本システムが実現されることで、太陽発電衛星本来の目的のみならず、太陽電池セル膜面展開技術、静止軌道上での自律ドッキング、ロボティクス、柔軟構造物の軌道姿勢制御、マイクロ波送電技術、小型軽量化技術など、多くの工学的技術の発展が望める。
奨励賞

夜光・やこう・YAKO ~地震の前兆現象の観測~アイデアの部
日本大学大学院
メンバー:
朝倉泰代、橋本和明
「YAKO」は、高度100km~600kmに存在する原子状酸素を主体とする物質が、地殻変動に伴って地球内部から放出されるエネルギーにより、通常の「主に太陽からの紫外線励起による微発光現象」とは異なる発光をする現象について、その立体構造を解析することを目的とする。原子状酸素の異常な発光現象は地震発生の数時間前後に発生する。この発光現象(波長555.7nm)を観測、分析することにより、地震の規模、範囲等の予知のための基礎的情報が蓄積可能となる。
奨励賞

宇宙ステーション内での静電霧化の実験アイデアの部
東京都立航空工業高等専門学校
メンバー:
浜辺誠士、渡辺未来織、伊藤賢一、林加代子、渡辺敬
液体表面は電界が大きくなると表面に働く静電気力によって電気流体力学的に不安定になり、液面や液滴が多数の液滴微粒子や噴霧を発生することがある。これを静電霧化現象といい、一般的には塗装などに応用されている。
この静電霧化の実験を、微少重力下の宇宙ステーション内部で行い、得られたデータを地上に持ち帰って、測定値・カメラの画像を解析して、地上での実験データと比較・検討する(比較対象は、液滴の電荷量・液滴の間隔や速度・液滴の大きさなどを考えている)。両者に違いがあることが確認できれば、この現象を宇宙空間で利用して、生活の一助にしたい。

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